当センターが不登校やひきこもり、自宅療養中の患者さまに対する施術で特に期待している効果について説明します。

※このページではマッサージの効果についてなるべくわかりやすく書きました。
 より詳しく知りたい方やそれぞれの根拠となる研究については「なぜ効果があるのか」のページをご覧ください。

自律神経反射

触れる・指圧することによる自律神経系を利用したリラックス効果を期待しています。

人間の皮膚や筋肉に対して指圧やマッサージなどの物理的な刺激を与えると、内臓を含めた身体全体をリラックスや休息のモードである副交感神経の方向へ持っていくことが知られています。

これはネズミでも同様なので、哺乳類にとって優しく触れられることは安心や休息のための基本的な社会行動なのだと思います。

また、マッサージによって

鎮痛、ストレス反応の軽減、高血圧の軽減、免疫機能の上昇、子供の成長、呼吸機能の改善

などの効果があることも報告されています。常にこれら全ての効果があるわけではなく、施術時間や場所にもよりますが、マッサージによる自律神経系やその他への効果によって起きたと考えられます。

自律神経系のしくみや根拠とした参考文献については「なぜ効果があるのか-自律神経系と自律神経反射」のページで紹介しています。

ホルモンなどの分泌・抑制効果

触れる・指圧することによるホルモン・神経伝達物質の分泌などの効果を期待しています。

例えば、愛情ホルモンなどと呼ばれるオキシトシンや幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンはマッサージによって増えることが報告されています。

また、ストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾールなどは減ることが報告されています。

皮膚へのマッサージ刺激によって確実にこの効果があります!と断言できることはまだ多くはありませんが、近年マッサージがホルモン分泌などに影響を与えていることを示す研究結果が増え始めています。

さまざまなホルモンの作用や根拠とした参考文献については「なぜ効果があるのか-ホルモン/神経伝達物質の分泌・抑制効果」のページで紹介しています。

関節拘縮の予防・改善効果

指圧・運動操作による関節のかたまりの予防改善効果を期待しています。

ほぼ動かずに寝た状態で過ごしていると、関節が弱くなったり、関節の動きが悪くなったりします。
また筋力が低下し、筋肉の弾力性がなくなり、結果としてやはり関節の動きが悪くなります。

これは早いうちに活動を再開すると次第に元の能力を取り戻していきます。

ただ寝込んでいるのが長期間に及ぶと、関節やその周りの組織がかたまってしまい、本来関節が動く範囲よりも動かせなくなってしまいます。
体も弱っているので活動再開時に急に激しい運動をすることでケガをするリスクも通常より高くなります。

関節やその周りの組織に刺激を与えることで、この予防と、少しずつにはなりますが改善を行っていきます。

身体機能の維持に関する院長の思いについては「なぜ効果があるのか-関節拘縮の予防・改善効果」のページで紹介しています。

申し添えると、医師の同意を得て健康保険適用で訪問マッサージを受ける際の目的が、”関節拘縮や筋萎縮に対する関節可動域の拡大”に該当します。

その他の効果

・筋力維持、筋萎縮予防・改善効果があります。(もちろん自分で筋トレしたり運動するほうが効果は高いです)

・その日だけでも、朝に起きたり、お風呂に入る、身だしなみを整えるなど、生活の中で少しだけメリハリをつける副次的な効果があります。
(それはちょっとエネルギーを要するので難しいという方は大丈夫です)

・社会復帰に向けたはじめの一歩、ご家族や医師看護師以外とのコミュニケーションとしても。

・運動後にマッサージを受けた筋肉ではミトコンドリアの合成が増進し、(運動による)筋損傷での炎症を起きにくくするようです。

ご協力のお願い

個人的には関節拘縮の改善だけでなく、上の2つの項目(自律神経反射とホルモンなどの分泌効果)も患者さまの状況の改善に貢献できると思い、不登校やひきこもり・自宅療養中の方に訪問マッサージを強くお勧めしております。

今後、不登校・ひきこもり・自宅療養にある方に対するマッサージの医療的な価値を認めてもらうために、可能な限りで構いませんので、患者さま、ご家族の皆さまには症例研究へのご協力を賜れましたら幸いです。
(その際には改めてこちらからご説明とお願いを申し上げます)